弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT)は、マーシャ・M・リネハン博士により境界性パーソナリティ障害の診断基準をみたす自殺行為常習者のための包括的治療法として開発された認知行動療法です。BPDに対する有効性について対照試験を通して実証した初の精神療法でもあります。
近年は、うつ病、双極性障害、アルコール・薬物依存症、摂食障害、PTSD、発達障害にも効果が認められています。
標準的なDBTは、個人精神療法とグループ・スキルトレーニング、電話でのスキルコーチング、セラピストのコンサルテーションの4つから構成されています。グループ・スキルトレーニングでは、マインドフルネス、情動調節スキル、効果的な対人関係スキル、苦悩耐性スキルが、6ケ月のプログラムの中で実施されます。
DBTでは、マインドフルネスは、中核的スキルとして位置づけられています。DBTのマインドフルネスは、東洋の瞑想と西洋の黙想を基礎にしています。マインドフルネスのトレーニングでは、情動調節不能で著しく衝動的な行動パターンを軽減し、ストレスな場面でも情動をコントロールでき、社会に適応した行動がとれるようになることを目指していきます。
DBTは、バランスのとれた心と身体を育成していくことを総合的な目標としています。